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「URA×コーチング」が一冊の本になるまで――初めての「コーチング監修」を経験して

まさか自分が「コーチング監修」をするとは

「お知らせ」でもご紹介したように、京都産業大学URAの楜澤さんが執筆された『咲かせます、この調書: URAアヤノのコーチな日々』がAmazonで出版されました。

今回、私は本書のコーチングに関する監修を担当させていただきました。

Amazonに並んだ書籍の表紙に「コーチング監修」として自分の名前が載っているのを見ると、嬉しさと同時に、ちょっと気が引き締まるような感覚があります。

今回は、この本が生まれるまでの背景や楜澤さんとのご縁、そして初めて「監修」という役割を経験して感じたことについて、少しご紹介したいと思います。

楜澤さんとの出会い

楜澤さんとの出会いは、約2年前に遡ります。

2024年10月、沖縄科学技術大学院大学(OIST)で開催された第10回RA協議会年次大会で、私は初めて「URA×コーチング」をテーマに、当時OISTに在籍されていた杉原さん、井上さんとともにセッションに登壇しました。

楜澤さんがそのセッションに参加してくださったことが、最初のきっかけでした。

私たちの取り組みに興味を持ってくださり、年会後にはプロボノで実施していたコーチングにも申し込んでくださいました。数カ月にわたって実際にコーチングを体験され、その可能性を感じていただいたようです。

その後も、私が出張などで関西を訪れた際にお会いするなど、交流が続いていきました。

「本にして届ける」というアイデア

翌2025年10月、熊本で開催された第11回RA協議会年次大会でも、第10回大会と同じメンバーで「URA×コーチング」のセッションに登壇し、それまでの取り組みや実績についてご紹介しました。楜澤さんは、このセッションにも参加してくださいました。

その際に、楜澤さんから一つの構想を聞きました。

コーチングはURAにとって有用だと思う。一方で、大規模な大学であれば何十人ものURAが所属し、組織として研修などを企画・実施することもできますが、小規模な大学ではURAが1人、あるいは数名ということも珍しくありません。

むしろ、そうした環境にいるURAのほうが、身近に相談できる相手がおらず、一人で悩みを抱えていることもあるのではないか。

それなら、少しでも多くのURAにコーチングというものを知ってもらう方法の一つとして、「本」という形で届けてみてはどうだろうか――。

そんなアイデアでした。

実は楜澤さんは現役のURAであると同時に、かつて大手新聞社で記者をされていた経歴をお持ちです。URAであり、「書くこと」のプロでもあります。

その話を聞いたとき、私は「物書きのプロが、URAの視点からコーチングについて書いてくれる。それは面白い!」と思いました。

「私に協力できることがあれば、ぜひ声をかけてください」とお伝えし、その流れから、本書のコーチング監修を担当することになりました。

初めて「監修」を経験して

Amazonに並ぶ本を監修するというのは、私にとって初めての経験です。

最初は、「監修って、いったいどこまでやればいいんだろう?」というところからのスタートでした。

しかも今回は、ビジネス書やコーチングのノウハウを解説する本ではなく、物語として描かれた作品です。

あくまで著者は楜澤さんであり、作品はフィクションです。「コーチングとして正しいかどうか」だけを追求してしまえば、物語としての面白さや妙味を損なってしまう可能性もあります。

例えば、医療ドラマでは専門家や医療機関が監修していても、演出上、実際の医療現場とは異なる描写が登場することがあります。それと少し似ているのかもしれません。

一方で、「コーチング監修」として名前を出す以上、何でもよいというわけでもありません。

プロコーチとして、国際コーチング連盟(ICF)が定める倫理規定やコア・コンピテンシー、そして私自身のこれまでのコーチング経験などを踏まえながら、原稿を読んで気になった点や、「ここはもう少しこうした方がコーチングらしさが伝わるのでは」と感じた点を楜澤さんにお伝えしました。

そこから何度もやり取りを重ね、楜澤さんにも多くの部分を理解いただきながら、少しずつ作品をチューニングしていきました。

もちろん、コーチングにはさまざまな考え方やスタイルがあります。本書を読んだプロコーチの方の中には、「自分ならここは違う関わり方をする」と感じる場面もあるかもしれません。

それも含めて、楜澤さんと私が何度も議論を重ねた結果として、今回の形になっています。

この経験を通じて感じたのは、「他の方が書いた文章を監修する」ということの難しさです。

同時に、自分自身が普段、感覚的に行っていることも含め、コーチングに関する知識や経験をきちんと言語化できなければ、URAをはじめとするコーチではない方々に分かりやすく伝えることはできないのだと、改めて気づかされました。

監修する側だった私自身にとっても、とてもよい学びの機会になりました。

「すべてのURAがコーチになる」必要はない

私は、理化学研究所で研究支援・研究推進に携わった経験、プロコーチとしての経験、そしてここ数年の「URA×コーチング」の活動を通じて、必ずしも「すべてのURAがコーチになる必要はない」と考えています。

そして、「コーチングですべてが解決する」とも思っていません。

一方で、URAの仕事の中には、相手の話を聴き、考えを整理し、その人自身が次の一歩を見つけていくことを支える場面が確かにあります。

研究者との対話、URA同士の関わり、チームづくり、キャリアについての相談――。

そうしたさまざまな場面で、コーチングの考え方や対話の技術が、研究支援・研究推進に携わる方々の選択肢の一つになればと考えています。

今回の本も、その入口の一つになってくれたら嬉しいです。

一冊の本が、新しい対話のきっかけになれば

『咲かせます、この調書: URAアヤノのコーチな日々』は、Amazonで販売されています。

物語を楽しみながら、「URAの仕事にコーチングを取り入れると、どんなことが起きるのだろう?」と考えていただくきっかけになれば嬉しく思います。

また、9月28日・29日に横浜国立大学で開催される第12回RA協議会年次大会では、株式会社ポートフジコーチングの企業ブースでも本書を展示する予定です。

大会に参加される皆さま、もし会場で見かけたら、ぜひ手に取ってみてください。

Amazonの商品ページ:
https://www.amazon.co.jp/dp/B0HK1BLMD3